丹波篠山の山の芋のはなし
山の芋の伝来
生産者との信頼関係が育てる丹波篠山の山の芋
縄文時代に中国から伝わったとされる山の芋。
栽培が始まったのは、江戸時代初期といわれています。
年貢の取り立てが厳しかった篠山藩の農家では、米が凶作だったときは山の芋を食べて飢えをしのいだという話が残っています。
山の芋の特徴
丹波篠山の山の芋は粘りの強さが特徴
丹波の山の芋は、ツクネイモ群の「大和イモ黒皮種」に分類されるもので、自然薯(ジネンジョ)のように自生するもの(野生型)ではなく、栽培型の作物です。
主な成分は澱粉・たんぱく質・粘質物・水分で、特に粘着物は多量に含まれ、すりおろした時の粘り強さは他の芋類よりも格段に強いのが特徴です。
例えば、長芋(ナガイモ)と比べると粘着物では長芋の4倍もあり、澱粉質も長芋の3倍も多く、栄養豊富です。肉質は見た目とは対照的に純白できめが細かく緻密、変色しにくい特性を持っており、クセが無く食べやすいのが特徴です。
昔から生菓子や薯蕷饅頭、かるかんなどに山の芋が使われていることはよく知られていますが、近年では
栄養価の高い健康食品として注目され、家庭用の需要が伸びてきています。
山の芋の美味しさの秘密
現在はあまり見かけなくなった、藁を敷いて育てる丹波篠山独特の手法
丹波山の芋は、他の芋類と異なり、消化酵素ジアスターゼが多量に含まれ、生で食べても消化不良を起こしません。
また、高級植物たんぱく質ミニーシンを多く含み、強壮、疲労回復、高血圧防止などの効果もあると言われています。
全国の丸い芋の中で、丹波のものが最も多くアミノ酸を含んでいることが、「兵庫県農業技術センター」の調べで分かりました。これが美味しさの秘密であると思われます。
山の芋の別名
絡み合う蔓を1本1本、自然な流れにもどしていく
丹波篠山の山の芋には「霧芋」という素敵な呼び名があります。これは辺り一面が真白な朝霧に覆われる秋頃に、大きく育った山の芋の収穫が行われることに由来します。
また芋類は、一般的には種芋の上に新しい芋が出ますが、山の芋は種芋の下に一つだけできます。
子芋が親芋の下にいる様子を、親を担ぐ子供に見立てて「親孝行芋」と呼ばれています。